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ロシアのメッセンジャー事情

ロシアのメッセンジャー事情

Privet!(ロシア語でカジュアルな「こんにちは」の意)
今回は、MTCJapanのIT担当牧野がロシアのメッセンジャー事情について、お伝えします。

 

このブログを読んで頂いている方は、もうすでにロシアに行ったことがある方、もしくはこれからロシアへの渡航を考えている方がほとんどかと思います。ドイツのマーケティング・リサーチ会社GfKによると、2015年時点で、ロシアにおける16歳以上のインターネット利用者数は、8,400万人を超え、人口の70.4%をカバーしています。

 

一方、ロシア人の携帯電話利用率はどうでしょうか。ロシアのマーケティング会社iMetricsによると、2016年現在6,380万人がモバイルインターネットに接続されているというデータが出ています。毎年+7%の成長率です。ロシア人の約2人に1人が、携帯電話ないしタブレット端末を所有している事になります。

 

 

 

近年はスマートフォンの普及により、従来の電話やSMSという利用方法以外に、メッセンジャーによるコミュニケーションが若者を中心に広まってきています。では、ロシア人はどのようなメッセンジャーappを利用しているのでしょうか。ロシア最大の通信会社「メガフォン」の調査によると、ロシアで最も利用されているのは米「WhatsApp」です。続いて、イスラエルの「Viber」(楽天が900億円で買収しましたね)、「Skype」、「Facebook Messanger」、日本で人気の「Line」は厳しい競争環境の中で苦戦しています。また、これらのプレイヤー以外にも、ロシアソーシャルネットワークの「VKontakte」、「Odnoklassniki」、新興メッセンジャーappの「Telegram」(「VKontakte」のファウンダー、ドゥーロフが開発しました)、中国の「WeChat」も利用されています。

 

 

しかし、今、このロシアのメッセンジャーapp、ソーシャルネットワークの業界を撼わす問題が浮上しています。海外発のアプリやWEBサービスがロシアの検察当局によって、次々に差し止めを受けているのです。2016年11月には、米のソーシャルネットワーク「LinkedIn」が、2017年4月には日本の「Line」がロシア国内からアクセスできないようになってしまいました。

 

そもそも、なぜロシアはこれらのSNSやメッセンジャーappを使用停止にするのでしょうか。事の発端は、2014年に制定された連邦法第242-FZ号「情報・電子通信ネットワークにおける個人情報の処理手続きの適正化に関する一部のロシア連邦法の改正について」で、従来の個人情報の取り扱いについて、法改正された事がきっかけです。

個人情報の国内管理規制

企業等が取得した個人データをロシア国内にあるサーバーで保管し処理すること(データローカライゼーション)を義務付ける法律(2014年7月21日付連邦法第242-FZ号「情報・電子通信ネットワークにおける個人情報の処理手続きの適正化に関する一部のロシア連邦法の改正について」)は、ロシア個人情報保護法を含む3つの連邦法の改正法として、2015年9月1日に施行された。同改正法では、ロシア国内の事業者(外資系企業の現法、支店および駐在員事務所を含む)および海外の事業者であっても、ロシア国内向けのウェブサイトを通じて個人情報を収集する者(オペレーター)は、ロシア国民の個人情報をロシア国内で保存、管理しなければならない。また、オペレーターは、個人情報(ロシア国民のものであるか否かを問わない)を処理するサーバーの場所を含む通知を通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)に提出しなければならない場合もある。

出典:JETRO「外資に関する規制」

 

ロシアの通信規制当局(Roskomnadzor)の発表によると、「Line」に対するアクセス制限は「Line」が「情報拡散事業者としての登録を拒否した為」となっています。「情報拡散事業者」の定義は1日に300,000人以上のユーザーからアクセスを受けるサイトを指します。そして、「情報拡散事業者」は連邦政府の有するレジストリに登録しなければいけません。これは、「Roskomnadzor」のサイトから自身で行うこともできます。今回、「Line」が利用停止にあったのは、この登録を拒んだ為ということになります。一方で「LinkedIn」がロシア国内で利用できないのとは、「個人情報に関する権利侵害」に抵触したとモスクワ地方裁が判断したからです。

この「情報拡散事業者」レジストリには、ロシア初のグローバル出会い系サイト「Badoo」や、「Yandex」「Mail.ru」「VKontakte」「Rambler」のようなロシアIT企業の雄、そしてIT系メディア「habrahabr(露:Хабрахабр)」「Roem」なども登録しています。

 

ロシア国内のIT企業は2014年の改正法制定に合わせ、大手企業も着実にレジストリ登録に取り組みました。また、Googleを始めとする大手の外資系IT企業も、2015年の改正法施行後、ロシアのサーバーにデータを移転する発表をしました。国内外の大手IT企業はロシア政府の法改正に反対しながらも、柔軟に対応しており、今のところサービス停止になっているのは数社程度です。「LinkedIn」もMicrosoftを通して、当局側とコンタクトをとり、サービス復活を検討しているとも言われています。

 

一方で、昨年外資のIT企業が提供するWeb上のコンテンツ(オンラインゲーム、音楽、データベース、CRM、検索サービス、ホスティング、電子書籍、動画、画像)に関しても、付加価値税を課税するという法律が制定され、Googleが付加価値税の18%分を上乗せするという文面をクライアントに送っていた事がわかりました。

また、検閲当局以外のブロックサイトの摘発機関において、全体の30%が税務庁である事からも、今後は税制面でも外資のIT企業に関しては、規制が強まっていく事が想定されます。

 

今までのロシアにおけるインターネット検閲と外資規制の歴史と現状を鑑みると、今回の「Line」の一件は、単にサイトがブロックされたのではなく、ロシアは「Whatspp」「Viber」の利用者が多く、「Telegram」の利用も広まりつつある中で、サーバー移転費用や今後の課税問題と、市場における競争環境からビジネスジャッジとして、「Line」がレジストリ登録を拒否したのかもしれません。

その証拠に、2017年5月に一時アクセス制限を受けた中国の「WeChat」は、迅速にレジストリ登録を済ませ、短期間でアクセス制限が解除されています。ロシアと中国は政治的・経済的にも接近しており、また中国人観光客や留学生はロシア国内でも一定の市場を形成しています。今後も利用者が伸びる可能性と、中国とロシアの関係性から「WeChat」側にロシアの当局とのパイプがおそらくあったことから、これだけ短期間で対応できたのだと思います。

 

いずれにせよ、これからロシアに来られる方は「WhatsApp」や「Viber」などを登録しておくか、VPNに接続できるappをあらかじめインストールしておく事をオススメします。

 

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