日本とロシアのビジネスを繋ぐMTCJapan

  • ロシア情勢
  • お問い合わせ
Home > ロシアの移民事情

ロシアの移民事情

ロシアの移民事情

 ロシアは現在、人口減少の問題を抱えています。連邦国家統計局によると、2021年のロシアの人口は1億4623万8000人で、2018年(1億4688万0432人)2019年(1億4,678万0720人)2020年(1億4,674万5098人)に続き減少しています。また、合計特殊出生率も2015年の1.78をピークに減少に転じ、2019年には約1.5と10年前の水準に落ち込んでいます。このような状況でロシアは人手不足に直面しており、移民、特に出稼ぎ労働者はロシアにとって欠かせないものとなっています。
 今回の記事では、出稼ぎ労働者について紹介します。
1.出身国と人数

 ロシアへの移民の多くを占めているのは旧ソ連国出身者です。グラフの総移民数には出稼ぎ労働者だけでなく、観光者なども含まれていますが、旧ソ連国出身者の約8割が労働目的で入国しています。また、申請をせずに滞在している違法労働者もいるため、実際の数は表で見るよりも多くなっています。

 グラフの中で目立っているのは、中央アジアからの移民です。中央アジア5ヶ国の中で、カザフスタンは石油・ガス資源に恵まれた比較的豊かな国で、むしろ労働者を受け入れる国です。また、トルクメニスタンは閉鎖的な国なので労働者を輩出することはあまりありません。そのため、所得水準の低いウズベキスタン、タジキスタン、キルギスの3ヶ国からはロシアに多くの移民が来ています。

 では、出稼ぎ労働者はどのような職業についているのでしょうか。多くは低賃金、専門知識を要さない仕事に従事しています。具体的には、建設業、製造業、農業の分野で働く人が多いです。

2.ロシア人の移民に対する態度
 ロシアの世論調査センター(ВЦИОМ)が2005年から2021年にかけて、ロシア人は、移民に対してどのような感情を抱いているのか調査を行いました。調査項目は、1.移民は職を奪っている、2.低賃金、専門知識を要さない職業分野において労働力不足を補っている、3.移民の増加は犯罪率の上昇に繋がっている、4.経済の発展に貢献しているの4つです。各項目について、賛成、反対、部分的には賛成、どちらとも言えない、で回答しています。

   1.移民はロシア人の職を奪っているか

   2.低賃金、専門知識を要さない職業分野において労働力不足を補っている

   3.移民の増加は犯罪率の上昇に繋がっている

   4.移民は経済の発展に貢献している

 以上のような結果を見ると、ロシア人は労働移民に対して肯定的な印象を抱いているとは言えないことが分かります。しかし、移民に仕事を奪われている、移民は犯罪率の上昇に繋がっている、という意見が多い一方で、労働力不足を補っているという項目に対しては、賛成という声が多く見られます。このことから、移民に対してあまり良い印象を抱いてはいないが、労働力不足を補うために移民に頼らざるをえないという現状を読み取ることができます。また、現地のロシア人はこのような仕事に就きたがらない傾向があるため、移民に頼っている現状があります。また、ロシアの人材紹介・転職支援サービス会社の代表であるウラジーミル・コリツキーは、ロシアにおいて移民が欠かせない職業分野として、建設業、サービス業、製造業を挙げています。

 ここで、レバダセンター(ロシアの独立した非政府の世論調査及び社会学的研究組織)が2019年に実施したある社会調査結果を紹介します。これは、ロシア人が「様々な出身国の移民に対してどれほど共存可能と考えているか」、という調査です。結果によると、ウクライナ人やベラルーシ人は共存可能、言語や文化面でロシア人と大差なしと見なされています。一方で、中央アジア、キルギス、コーカサスの人々に対しては、ロシア語の訛り、宗教の違いにおいて、ロシア人の共感度は低いことが分かります。

 また、2020年7月に改正された国籍法においてもこのような傾向を読み取ることができると考えます。ロシア国籍を取得するためには、基本的には
・РВП(一時居住証明)を取った後、ВНЖ(居住証明書)を取得すること
РВПとВНЖについて
・その後5年間ロシアに住む
・必要書類を居住地域の移民局に提出
という過程が必要です。
 しかし、今回の改定によって、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ、カザフスタン国民は5年間の居住という要件が免除されることになり、国籍取得が容易となりました。条件緩和により、2020年1-4月に国籍を取得した外国人の人数は、前年度の2.5倍になりました。

 現在はコロナウイルスの影響により、多くの移民が帰国し、人手不足がより深刻化しています。2020年の冬には約150万人が自国に戻っています。人手不足は深刻ですが、移民の流入による感染拡大を防ぐ必要があるため、ロシア政府は2021年12月29日以降にロシアに入国する外国人に対して新たな措置を導入しました。労働目的で入国する外国人は30日以内(労働目的以外の場合は90日以内)に、
・HIV
・麻薬
・コロナウイルス
・結核
・ハンセン病
・梅毒
の検査を医療機関で受け、証明書をもらう必要があります。証明書の有効期限は3ヶ月で、切れてから30日以内に検査を受け直さなければいけません。また検査結果をロシア内務省に提出する必要があり、初回提出時は写真撮影と指紋登録のため本人が出頭する必要があります。

必要書類は
・申請書×2
・個人を証明する書類
・ВНЖ(居住証明書)のコピー
・納税証明書
・証明写真
・教育に関する証明書
・ロシアでの収入証明
・ロシア語能力を示す書類

*²それ以外の対象として、
・少なくともどちらか一方の親がロシアに居住し、ロシア国籍を持つ者
・旧ソビエト連邦構成国出身の18歳以上の無国籍者
が当てはまります。

○参考資料
Пандемия меняет законы миграции
Международная миграция населения России по годам
ЛЕВАДА-ЦЕНТР
MIGRANT MEDIA.RU
ВЦИОМ
российская газета

MTCJapanは日本人によるロシア現地法人として、日本人が細やかなサービス・サポートをすることが出来る唯一の企業です。

MTCJapanでは現地に幅広いネットワークを持ち、様々な要望に対応できる日本人スタッフが全て日本語で対応をさせて頂きます。

サンクトペテルブルグ日本領事館、日本センター、日本商工会加盟し、安心と実績のあるビジネス展開し、全てのスタッフが日系企業での豊富な業務経験をもち、迅速対応致します。

様々な日系、ロシア系企業との専属業務提携があり、専門家による迅速な露和・和露翻訳・通訳等もサポート致しますので、ロシアでのメディカルツーリズムやビジネス展開、イベント開催、現地視察から旅行まで何でもお気軽にご相談下さいませ。

同じカテゴリーの関連記事

日本・ロシア情勢

ロシアの移民事情

ロシア情勢2022年01月20日

ロシアの移民制度

ロシア情勢2021年12月13日

ロシアの医療保険

ロシア情勢2021年11月3日

ロシアで効果の高いWeb広告

ロシア情勢2020年12月13日
提携企業様・関連コンテンツ
ソーシャル

こちらからまたはお問い合わせページにてMTCJapanへのお問い合わせが行えます。