ロシアで効果の高いWeb広告

日本からロシアに進出する際に、運輸や現地での書類等諸々の手続きなど、頭を悩ませることは少なくありませんが、同様に、この国でサービスの認知をあげるために、また継続して収益を出すためにローカライズさせたPR戦略を考えることも重要です。
ロシアに限らず、昨今の傾向として、多くの企業やサービスがwebプロモーションを活用し、コロナウイルスの外出自粛で、web利用のウエイト増加が加速しており、その有効性は日々高まってきています。この記事ではwebを使用したプロモーションを取り上げていきます。
プロモーションをする際に、浮かび上がる不安や疑問点は
- LINEはロシアで使えないし、そもそもどんな媒体を普段ロシア人が使っているのだろうか?
- ロシア人にはどんな訴え方が響くのだろうか
- 費用はどれくらいかかるのだろうか
などではないでしょうか。
以上を踏まえて今回の記事では、いざロシアで集客をする際に知っておきたい、現在のロシアのウェブプロモーションの傾向をまとめました。
○ アツい媒体
ロシアの小規模飲食店や、小規模ショップ(オンライン、実店舗問わず)が集客するweb媒体には、ロシア版Googleと言える検索エンジンYandexや、チャット機能・タイムライン機能を兼備するローカルSNSVkontakteが挙げられますが、今特に人気を集めているのが、Instagramです。各国で高い市民権を獲得しているFacebookですが、日本と同様、若い層をカバーできておらず、ユーザー数において上記の2サイトに遅れをとっています。
以下、Vkontakte とInstagram、また参考にFacebookのロシアにおける使用状況を表にして比較してみます。
○ ロシアの主要SNS2媒体に関する基本情報
2020年のロシア6大SNSのオーディエンス
https://ppc.world/articles/auditoriya-shesti-krupneyshih-socsetey-v-rossii-v-2020-godu-izuchaem-insayty/#vk
○ Vkontakte (VK) のポイント
- ロシアの人口の約半数である約7,400万人をカバーでき、利用者の層の幅が広い
- 各種コミュニティ(例:ネイルデザイン、料理、日本を訪れてみたい人のグループなど)に直接広告を掲載することができ、選ぶコミュニティによって豊富な広告価格帯の検討ができる(リーチ数3000人/日で10ルーブル~、サマーラニュースなどといった地方ニュースコミュニティだと2400リーチに10万ルーブル、など)
- 文字ベースのため、物販よりもオンラインコース等の宣伝などに適している
○ Instagramのポイント
- ユーザー数が約5940万人とVkontakteには及ばないものの、ビジュアルベースで宣伝できるため、物販やレストランの集客に強く効果を発揮。(←企業アカウントのストーリーにアクセスしたユーザーのうち、2/3がその企業のサービスへの関心が高まった、というデータ有り)
- 25~34歳の利用者層が約38%を占める(2020年4月のNapoleoncat調べ)
- 男性41%:女性59%の割合で、女性の利用者が多い
- インスタグラマーによるプロモーション投稿も盛ん。明確な指標はないが、フォロワー数が数千人程度のナノインフルエンサー、~10万人ほどのマイクロインフルエンサーだと、1投稿あたり5000~10000ルーブル台が相場といわれている
参考サイト:https://www.ashmanov.com/education/articles/reklama-vkontakte-stoimost/
○ VKとInstagram どちらを選ぶか
18~30歳の年齢層のロシア人にアンケートを実施し、上記のデータと合わせてみたところ、併用を含み、56.4%がインスタグラム、31.3%がVKの広告が有効性が高いと考える、という結果が出ました。ビジュアルか、文字ベースかによって使い分けながら、可能であれば併用することで、80%のロシア人若年層にアピールできる計算です。
女性向けのサービス・商品広告なら積極的にインスタグラムを利用するのが効果的です。同SNSにおけるPR投稿にかかる経費は1投稿5000-10000ルーブル程度です。
○ 実際の運営の大まかなイメージ(在サンクトペテルブルク日系サービスのPRの実例)
実際のロシアでのSNS運用について、外注価格がどの程度になるものか、ラーメンや”スシ”をはじめとした日本食人気のトレンドを受け誕生した、ロシアで初の日本人による製麺所”フクオニ”のInstagramマーケターにインタビューしてみました。2ヶ月ほどでフォロワーは約2倍に。新規の発注も増えました。
- SMMスペシャリストの仕事をどれくらいの報酬で受けていますか?
職務の程度にもよりますが、1アカウント、1ヶ月あたり約15000-30000ルーブルです。
- 何経由で仕事を受けましたか?
多くの場合は、知人経由、ヘッドハンティング、フリーランサーの仕事依頼サイトなどです。
○プロモーションにおけるロシア人への訴え方
ロシアの広告に関しては他の先進国と比べて未熟な段階であるという意見が少なくありません。また、”押し付けがましい”広告の多さは多くのロシア人が頻繁に指摘するロシアの広告のマイナスポイントの一つです。(筆者アンケート回答者の4割が指摘)
○ロシアのプロモーションで見られる傾向について
2つ目にロシアの広告に見られる傾向は、”女性性の高さ”です。女性性といわれてもあまりピンとこないですよね。具体的なテーマを挙げるととしては、「家族」、「気遣い」、「ゴージャスな装飾」、「ステータス」、「安全」、「技術」、「伝統」の雰囲気を醸し出した広告がよく見受けられます。例えば、ハイブランドの服を着たインスタグラムの投稿をロシアと他国で比較すると、ブランドロゴの目立つ服装の投稿が多いのがぱっと見てとれます。(=「ステータス」重視)
2つ目に、男女の差が明確に見られます。欧米諸国のようなLGBTの運動はなく、むしろ敬遠されるというのがロシアの消費者の他国との大きな違いです。女性は女性らしく、男性は男性らしい、といった演出が好まれます。
3つ目は、これは世界的トレンドと同様ですが、ストーリー性の高い広告が成功しやすい、ということです。
(出典:https://dis.ru/library/528/35662/)
○他国と比較したロシアの広告の例
世界のハイブランドファッションを取り扱うセレクトショップのアカウントについて、欧米系”Farfetch”と、ロシアの”Babochka”のInstagram IGTV のプロモーション映像を比較してみました。
Farfetchのイメージ映像では、より自然体、より自由を求め、ノーボーダー(人種、コロナ明け共に)の世界を切り拓く、といった社会問題がおり込まれたメッセージ性が強く現れていました。対して、ロシアのBabochkaはゴージャスな雰囲気、高いステータスの”選ばれし者”のためのサービスというイメージが前面的にに打ち出されています。黒塗りの車のカットや、又、他のビデオでは、”あなたという選ばれし者のための高品質サービス”である、と感じさせるような一コマも。
○まとめ
今回の記事ではロシア進出において、土地に特化させたプロモーションを取り上げました。
昨今のモバイルwebユーザーの増加により、webによるプロモーションが効果を得るのに充分効果を発揮すること、媒体としてはテキストベースならVK、視覚情報に訴えるならインスタグラムといったロシアの日常生活と密接であるプラットフォームで、外注ならひと月15000-30000ルーブル、また、1投稿5000ー10000ルーブル程の予算でインフルエンサーを含む広告を打つのが一般的です。
○参考サイト
日系製麺所FUKUONI RAMEN のインスタグラムアカウント https://www.instagram.com/fukuoni/?hl=ja
雑誌『ロシアと海外のマーケティング(2014年号)』「文化的価値とマーケティング・コミュニケーションへの影響(ロシアのテレビ広告を例として)」ラコフ.O.V.
https://dis.ru/library/528/35662/
https://www.ashmanov.com/education/articles/reklama-vkontakte-stoimost/

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