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ロシアの高級レストランチェーン「ギンザ・プロジェクト」とは?

ロシアの高級レストランチェーン「ギンザ・プロジェクト」とは?

みなさんこんにちは!弊社MTCJapanの社員によるリレー連載第二回目、今回は弊社でマネージャーを務めております私山田が担当させていただきます。ロシアには留学時代も含めると5年ほど住んでおり、現在は同社において主に飲食関係のプロジェクトに関わっています。私が担当する回では、普段日本ではなかなか知る機会のないロシアの外食市場に関してお話をしていきたいと考えています。

ロシアなのにGinza?

飲食関係者のみならず、サンクトペテルブルクやモスクワの若い世代でGinza Projectの名前を知らない人はいないでしょう。Ginza Projectはロシアにおいて、ファインダイニングレストランとファストフードチェーン事業をメインに展開するロシア企業です。ワジム・ラピン氏がドミトリー・セルゲエフ氏と共同会社を設立。2003年に最初のレストラン「Ginza」を開店して以来、サンクトペテルブルクとモスクワを中心に破竹の勢いで店舗を展開し、2017年4月時点で国内外において60以上のレストランを運営しています。(うち34はサンクトペテルブルク、24はモスクワ、ロンドン、ニューヨークにも店舗を構える)いわゆる他業種・多店舗で展開しており、コンセプトに沿ったインテリアに徹底的にこだわり、店舗ごとに個性を強く意識した店づくりがなされています。Ginza Project運営のレストランの多くは高級路線で、同社のHPによると客単価は1,500~5,000ルーブル(約3千~1万円)となっています。一般ロシア人の月の飲食代の平均支出が741ルーブル(約1,500円)ですから、現地の一般人が気軽に行ける価格帯のレストランでないのは間違いないでしょう。

高級寿司からハンバーガーまで

同社の非常にバラエティに富んだレストランをいくつか見ていきましょう。最初は、400名が収容できるカザン大聖堂を見下ろすテラス席が有名で、ピザやパスタなどのイタリアンから、グルジア料理、寿司まで楽しめるTerassaです。

バレエの殿堂マリンスキー劇場の近くにあり、劇場やおとぎ話をテーマにした内装でロシア料理を提供するTHE REPA。このレストランは毎年ロシアで新しいコンセプトのレストランの一番を決めるパルム・ドールにおいて、今年度サンクトからの唯一の代表として選ばれています。地産地消を掲げ現地の新鮮な食材にこだわった料理を提供しています。

また、ファストフードの新たなスタンダード( fast&good! )をつくるとして始まったOBED BUFETはGinzaグループのレストランでは初となるセルフサービス形式を取り入れ、お客が自ら食べたい分だけ取り分けて量り売りするような形になっています。サラダバー、スープバーに加え、ホームメードのフレッシュジュース(キャロットジンジャージュースがおすすめ)やデザート系も非常に充実しており、持ち帰り客を想定してボックスや紙袋が用意されています。街中でも同店の名前が入った青地の紙バックを提げて歩いている人をよくみかけます。同店の客単価は300-500ルーブル(約600~1000円)とGinzaグループの他業態のレストランのおおよそ3から5分の1程度となっています。さらに朝10時から12時、また夜21時から23時は全品50%オフにするなどでうまく集客を行っています。

Ginza=おしゃれ

多くの若い世代がGinzaブランドに対して持つイメージは「おしゃれ」というものです。 同社はブランドイメージ戦略に非常に力を入れており、外部イベントへの参加、大々的な広告に加え、店舗での芸能人とのタイアップイベント、コンサート、子供向け料理教室、有名ブロガーのセミナーなど、系列のレストランではほぼ毎週必ず何かしらのイベントが行われています。また一店舗しかないレストラン用にイメージビデオの作成なども行っており、 そのような取り組みが、”おしゃれでカッコいい”「Ginza」のブランドイメージにつながっているものと思われます。今ではGinza系列のレストランがない地域のロシア人、外国人観光客まで同ブランドが認知されているほどです。

経済不況下でのGinza

Тематическое приложение к ежедневной деловой газете РБК Четверг, 21 июля 2016 | №129 (2385)より引用

ロシアでは折からの経済制裁と原油価格の下落に伴うルーブルの暴落で、飲食市場も影響を被りました。2014年の1.4兆ルーブルをピークに、2015年は前年比-5.5%、2016年前年比-3.7%で市場が収縮、特に中間から高級帯のレストランが打撃を受けました。同社は財務状況を公表しておりませんので実態は分かりませんが*1、その煽りを受けたことは間違いないでしょう。Giznzaが前述のOBED BUFETやバーガーなどのファストフードブランドを展開し始めたのは、経済不況下でも比較的堅調な低価格セグメントを抑えたいという狙いがあったものと考えられます。同社は基本的には1ブランド1店舗で展開していますが、OBED BUFETに関しては複数店舗展開しています。強いブランドを複数店舗展開することで、経営の安定化を図る意図もあることが推測されます。

今後の課題

同社の最大の武器はその優れたブランド開発力と店舗開発力であり、新しいブランドを次々と開発しては、それを一等地に展開することで成功を収めてきました。しかしながらメニュー開発力には若干の疑問符がつきます。複数の店舗を訪れると、全くブランドの異なるレストランでもメニューの6~7割が同じであることに気が付きます。その点はレストラン批評家からも指摘されており、一般のGinzaユーザーからも話題にされることがあります。したがって今後メニュー開発力を高めないことにはお客が飽きて離れていってしまう可能性があります。恐らくそういった危機感は彼らも持っており、だからこそ最近になり、今までの系列店とはコンセプトも料理も異なる、ロシア料理のTHE REPAやアジアンフージョンのGODJIのような店舗を相次いで開店したのだろうと思われます。グループ内のレストランでお客を回遊させて、いつまでも飽きさせないためには、メニュー開発力のさらなる強化が課題として挙げられでしょう。

いずれにしても、現状ではGinzaはその圧倒的なブランド力と認知度でロシアにおいて盤石の地位を築いていおり、今後もロシア飲食業界におい手注目すべきメインプレーヤーの一人と言って過言ではないでしょう。

長文にお付き合いいただいてありがとうございました!

MTCJapan コンサルティング部門 マネジャー
山田

*1) Ginza holdingsは2011年度で2億ドル程度の売り上げがあったと経済紙エクスペルトがこちらで報じています。

MTCJapanは日本人によるロシア現地法人として、日本人が細やかなサービス・サポートをすることが出来る唯一の企業です。

MTCJapanでは現地に幅広いネットワークを持ち、様々な要望に対応できる日本人スタッフが全て日本語で対応をさせて頂きます。

サンクトペテルブルグ日本領事館、日本センター、日本商工会加盟し、安心と実績のあるビジネス展開し、全てのスタッフが日系企業での豊富な業務経験をもち、迅速対応致します。

様々な日系、ロシア系企業との専属業務提携があり、専門家による迅速な露和・和露翻訳・通訳等もサポート致しますので、ロシアでのメディカルツーリズムやビジネス展開、イベント開催、現地視察から旅行まで何でもお気軽にご相談下さいませ。

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