ロシアでの法人登記プロセスと、外国人をCEOにする際に気を付けるポイントについて
MTCJAPAN社員によるリレー連載第三回目になりました。今回は弊社のロシア人CEOナタリアが、おそらくみなさんも興味のあるロシアでの法人設立に関して記事を書きました。
日本で自分のビジネスを成功させ、その勢いを駆って海外進出を考える方はたくさんいると思います。その中にはもしかしたら、ロシアで現地法人(有限会社)を設立してビジネスを展開していこうと検討している方もいらっしゃるかもしれません。今回はロシアでの法人登記のプロセスと注意しないといけない点について、私自身がロシアでMTCを設立した際の経験に基づいて書いてみたいと思います!
法人登記は自分?それとも業者?
MTCJapanは2012年に私の故郷のシベリアのクラスノヤルスク市に有限会社として登記しました。登記の手続き自体は、専門のコンサルティング会社に依頼をしました。自分で手続きをすることももちろん可能だったのですが、時間をかけて自分でやるよりも、有償でも専門の会社に依頼をした方が安くつくと考えたからです。登記の手続き自体は2週間以内にすべて完了しました。サポート内容は、法律家と公証人の手数料、銀行口座の開設、国家登記手数料等を合わせておおよそ2万ルーブル(約4万円)でした。ちなみに5年経った今でも費用の相場は同じぐらいです。
外国人CEOのケース
基本的に、CEOが外国人である場合でも、法人登記のプロセスはロシア人CEOの場合と変わりません。ただし後者よりも少し追加の手続きがあるので注意です。外国人がCEOである場合にはパスポートの法定翻訳を準備する必要があります。法定翻訳自体は専門の翻訳会社に依頼をすれば翌々日には出来上がってきます。これに関しては特に難しいことはありません。問題は次の点です。外国人がCEOの場合、CEOは自分が設立した法人と雇用契約を結ぶ必要があり、さらにその事実を3日以内に移民局(日本の入国管理局にあたる)へ報告する義務があります。一見なんら問題のないようなプロセスに見えますが、問題は設立したばかりの法人は通常、外国人の雇用許可を持っていないということです。外国人雇用許可の取得プロセスはおおよそ3~4カ月かかります。(この手続きは非常に複雑かつ煩雑ですのでまた別の機会にお話ししますね。)従って手順としては以下のようになります。
法人登記(2 weeks)
↓
外国人雇用許可取得(4 months)
↓
外国人CEOと雇用契約
↓
3日以内に移民局へ報告
上記プロセスを経て、ようやく「オフィシャル」に外国人CEOは労働をスタートさせることができます。従って、外国人CEOの場合は、ロシア人CEOよりも、業務に付けるのが単純に4カ月ほど遅くなるということになります。このことを知らないで手続きを進めた場合には、現地での業務開始時期が遅れてしまい、ビジネスプランに影響が出るのは必至でしょう。また、上で「オフィシャル」という表現をしたのは、この時点ではまだ外国人CEOに会社から労働ビザが出ていないからです。ですから全ての手続きが終わったわけではありません。外国人CEO就任への道のりは長く険しいのです。
ころころ変わるルール
どこの国でも外国人の雇用に関するルールが厳しいのは分かりますが、ロシアの場合はその定義があいまい且つ、頻繁に変更されます。また、ひとつの手続きに関して管轄機関が2つ以上の場合があり、それぞれの機関で言っていることが違うということがよくあります。例えば、上記の外国人CEOと会社間での雇用契約について、労働局は必要がないと言っています。ただし移民局は必要であるという立場をとっています。このようなズレが日々関係者の頭を悩ませています。残念ながら正しい答えを与えてくれる人は誰もいないのです。
まとめ
ロシアで5年ほど会社をやってきて私が思うのは、ロシアでビジネスする際に重要なのは、変化を敏感に察知してかじ取りをすること、そして日々変わっていくルールや法律に関しては決して見逃さないことだと思います。それは簡単なことではないですが、それができれば、ロシアでのビジネスチャンスを捕まえることができると思います。みなさんのビジネスが成功することを願って、今回のお話を締めくくりたいと思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました!
ナタリア
MTCJapanでは現地に幅広いネットワークを持ち、様々な要望に対応できる日本人スタッフが全て日本語で対応をさせて頂きます。
サンクトペテルブルグ日本領事館、日本センター、日本商工会加盟し、安心と実績のあるビジネス展開し、全てのスタッフが日系企業での豊富な業務経験をもち、迅速対応致します。
様々な日系、ロシア系企業との専属業務提携があり、専門家による迅速な露和・和露翻訳・通訳等もサポート致しますので、ロシアでのメディカルツーリズムやビジネス展開、イベント開催、現地視察から旅行まで何でもお気軽にご相談下さいませ。
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