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ロシア連邦憲法改正について

ロシア連邦憲法改正について

 ロシアでは7月1日に憲法改正の国民投票が実施されました。期日前投票は一週間前から行われており、一部の地域では電子投票も行われました。最終的には投票者の約80%の圧倒的な賛成を得て、改正が決定されました。なぜ、改正案はこのような圧倒的な支持を得ることができたのでしょうか。主に2つの要因が考えられます。

1つ目の要因は投票時の選択肢が賛成か反対の2択しかなかったことです。
今回の憲法改正では、多くの箇所に改正が見られた為、賛成の箇所もあれば、反対の箇所もあったはずです。しかし、2択しか選択肢が無い状態であれば、余程反対の理由が無ければ賛成票を投じる人々が増えることが考えられます。


国営放送を始めとするメディアにおいては、憲法改正によって社会保障がより充実するといったポジティブな内容が主に報道されていました。その為、憲法改正を漠然と良いことであると考える雰囲気が広まりました。特に、政治に関心が無い人々にとっては、この社会保障の充実という内容だけで賛成票を入れることが考えられるでしょう。

↑ロシア連邦憲法改正の暫定結果(茶色は賛成票が70%を超えている地域)

この表からは都会の方が地方よりも賛成票が多い傾向があります。また、北方領土が含まれるサハリン州は地方であるにも関わらず、賛成票が多いことが読み取れます。

参考ホームページ

・Предварительные итоги общероссийского голосования по вопросу одобрения изменений в Конституцию Российской Федерации

http://www.cikrf.ru/analog/constitution-voting/itogi/

この憲法改正のニュースは日本のメディアでも報道されました。しかし、プーチン大統領の続投が可能になったことや領土割譲禁止条項の2点が中心に報道され、全体的にネガティブな報道内容となっています。

参考ホームページ
・NHK「ロシア憲法改正 きょう全国投票 プーチン大統領の続投可能に」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012490511000.html

・日本経済新聞「[社説]独裁容認したロシア憲法改正」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61079340S0A700C2SHF000/

しかし、実際に多くのロシア人が憲法改正に賛成しているという現状を考えると、決してネガティブな内容ばかりではないでしょう。

日本のメディアではあまり取り上げられていない改正内容をいくつか紹介します。

 

・(プーチン大統領以後の)大統領の任期が2期を超えてはならない。

・国民の社会的権利を保護する為に、ロシア連邦全体で最低賃金を定めること。

・国際法がロシア連邦憲法に違反する場合は批准しない。(=国内法優先の原則)

・祖国防衛者の記憶を尊重し、歴史的保護を確実に行う。

・年に1回、現状に応じて年金制度の目録を作成する。

 

以上の改正内容はほんの一部にすぎませんが、社会権を意識しつつ、より愛国的な要素が強まった改正内容であると言えます。

 

参考ホームページ

・Изменения Конституции РФ, как они изменят Россию, как это скажется на людях — начинаем обсуждение

https://zen.yandex.ru/media/tochkazzreniya/izmeneniia-konstitucii-rf-kak-oni-izmeniat-rossiiu-kak-eto-skajetsia-na-liudiah–nachinaem-obsujdenie-5e26fab0ee5a8a08c434a260?utm_source=serp

 ・Полный текст поправок в Конституцию: что меняется?

http://duma.gov.ru/news/48045/

ここで、実際のロシア人の意見を紹介します。

〇賛成派

・改正前の憲法はアメリカの影響を受けていたから、愛国者であれば今回の憲法改正に当然賛成するだろう。(32歳、男性、エンジニア)

・プーチン大統領を信頼しているから。(32歳、男性、エンジニア)

・年金問題は身近な問題であり、憲法改正に掲げられている年金改革が気に入ったから。

(75歳、女性、年金受給者)

・プーチン大統領の続投と領土割譲禁止条項に賛成しているから。

(67歳、女性、年金受給者)

 

〇反対派

・プーチン大統領の続投に反対。(20歳、男性、学生)

・そもそもプーチン大統領が好きじゃない。(22歳、男性、学生)

・リベラルな思想を持っているから。(24歳、女性、デザイナー)

 

全体的に年配の方は改正に賛成、若者は反対という傾向が見られます。また、今回の改正の是非を問う選挙はプーチン大統領への信任投票という側面もあったように感じられます。

 今回の憲法改正はロシア国民にとって非常に重要な投票であり、普段は政治に興味が無くても、今回の投票には足を運んだという人が多かったそうです。今回の憲法改正に関しては、様々な意見がありますが、最も驚くべきことはロシア人の政治に対する意識の高さです。年配の方は勿論のこと、若者もしっかりと自分の意見を持っていることが多いです。日本では政治について語り合うことはあまり好ましく思われていませんが、政治は私たちの生活に直接関わっており、避けては通れないものです。私たちもロシア人のように政治を身近な話題であると捉え、自分の意見を発信していければ良いと思います。 

 

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