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データで見るロシアの外食産業

データで見るロシアの外食産業

今回はロシアのメディアグループ«РБК»のレポートをベースに、ロシアの飲食市場の概観についてお話したいと思います。
※本投稿内で提示されている金額は全て1ルーブル=2円で換算しています。

経済制裁の影響大きく

2015年度はロシアの飲食市場にとって試練とも呼べる厳しい年だった。欧米からの輸入規制、下げ止まらないルーブル、所得の減少、購買力の低下、食材価格の上昇、これらすべての要因が飲食業界に大打撃を与えた。結果として2015年度の外食産業の市場規模は前年比5.5%マイナスの約2兆6000億円となった。(筆者注:2016年度の市場規模はオフィシャルの数値が出ていませんが、1-10月期では前年同期比+2%であったと各メディアが報道しています。)

ファストフード独り勝ち

市場の中でも最も影響を受けたのは中価格帯のセグメント(※図内ではファミレスと表記)で、15年の市場規模は7,920億円と前年比で12.4%縮小した。輸入規制による食材価格の高騰、その結果としてのメニューの値上げ等が影響したと考えられる。
ほぼ全てのセグメントがマイナス成長となる中で、唯一ファストフード業界は前年比で5.2%のプラス成長を遂げた。
中価格帯のセグメントからの流入があったことがプラスに働いたと推測される。

ロシア料理の«Bilka-Roshka»、ビアパブの«Pechiki-Ravochiki»、スシレストランの«Riba.Ris»などをシベリア地方を中心に50店舗展開する«Food Master»代表のイリヤ・セロフ氏は、15年度に同社の中価格帯の業態である«Pechiki-Ravochiki»と«Riba.Ris» が不振だった一方、低価格帯の業態である«Bilka-Roshka »は健全な成長を見せたと語っている。
大都市圏を中心に500店舗のテイクアウトとデリバリー専門の寿司ショップを展開する«Sushi Wok»のイリナ・リトビネンコマネジャーも、中価格帯のセグメントから低いセグメントへの流入が見られるたとコメントしている。

食堂(以下、スタローバヤ)と路上店舗もそれぞれ前年比-6.8%、-5.5%と大きく後退した。スタローバヤの後退の原因は2つ考えられる。一つはスタローバヤ以外にもセットメニューやランチメニューを低価格で提供するレストランが増えてきたこと、もう一つはクオリティの高い商品を低価格で提供する、様々なジャンルのファストフード店が近年増えてきたことだ。(*ここで”路上店舗”と言及されているのはこちらのような業態を指す。)
高価格帯のファインダイニングセグメントはわずか0.2%の減少に留まった。経済危機も富裕層へは影響が少なかったことがうかがえる。

15年度は大きく後退したものの、大きなトレンドとしては、食堂、路上店舗、ファストフードのセグメントは成長していると言える。2013年にはこれらのセグメントの市場規模合計の市場全体に対する割合は33.5%であった。2015年度は37.6%と4ポイント近く上昇し存在感を増している。

伸びるチェーン店の陰にファストフード

2015年度は、PBKがリサーチを開始して以来初めて、閉店した店舗数が新たに開店した店舗数を上回った。結果、ロシアの飲食店の店舗数合計は15年度、前年比0.3%減の76,200店舗となった。チェーン店にとっても15年は非常に厳しい年であったが、16年5月時点まで店舗数合計は前年比プラスで推移している。チェーン店の中でも大きく伸びたのがファストフードの業態だった。15年5月から16年5月までに新たに開店したチェーン店516店舗のうち408店がファストフードの店舗であった。(筆者注:うち73店舗がマクドナルド)ファストフードの伸張の要因は、不況下でも比較的安定的に売り上げが見込めること、またフランチャイズ権が比較的安いことなどがあげられる。

消費者と市場の特性

ロシアの家計における食費全体に対する外食支出の割合は10.7%となっており、ここ5年ほとんど変化していない。金額ベースでは15年度で1,482円となっている。

また、食費全体に対する外食支出の割合も10%強と、アメリカの47%、カナダの39%と比べて低い水準であると言える。

金額ベースでは一月当たりの外食支出は1,482円となり、アメリカの22,260円(15倍)日本の12,000円(8倍)とは大きな隔たりがある。

市場規模も2.6兆円と、アメリカの約87兆円(33倍)日本の25兆円(9倍)と比べて小さいと言わざるを得ない。
ただし、それも裏を返せばそれだけ今後の成長の余地があるとも言える。
RBKリサーチのアナリストは、飲食市場は16年に底を打ち、17年には回復の兆しを見せ始め、18年からは本価格的な回復トレンドに入るだろうとコメントしている。

まとめ

ご覧いただきました通り、ロシアの飲食市場は経済制裁による影響を受けて一時的に停滞しています。また、仮にその影響がなかったとしても、欧米先進各国と比べてその市場規模や、消費者の購買能力はまだ非常に低い水準であると言わざるを得ません。現状で、ロシアにおける日本のナショナルブランドの進出がほぼ無いに等しい状況であるのも納得ができるところです。(15年度でトリドールはロシアの丸亀製麺の運営からは撤退しています。)ただし、国として経済が落ちている今こそロシアへの投資の絶好の機会ではないでしょうか。今回は触れることができませんでしたが、ロシアの人件費と食材費の安さは特筆すべきものがあります。また、現在では寿司の人気はひと段落し、新たにベトナム料理、シンガポールなどで出されるアジアンフュージョン料理、中央アジア料理などアジア料理のトレンドが来ています。新たな日本食を持ち込んでニッチな市場を開拓し、圧倒的なシェアを獲得することも可能かもしれません。欧米、中国、東南アジアに目が向きがちなところではありますが、あえてロシアを市場として検討してみるのはいかがでしょうか。

コンサルティング部門
マネジャー 山田

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